栄養士便り

90 おでん





朝晩が大変肌寒くなり、冬の気配を感じられるようになりましたね。
空気が乾燥し、体調を崩しやすい季節。規則正しく、バランスよい食事をとって免疫力を高めましょう。



冷えは万病のもとといわれています。からだの冷えを内側から温めてあげることが大切です。
前回の「鍋料理」に引きつづき、今回は「おでん」についてご紹介します。


おでん流行のなぞ

おでんのルーツは「田楽」です。「田楽」とは豆腐に味噌をつけて焼いたのが始まり、その後こんにゃくや野菜にも及んだといわれています。田楽が流行したときは、煮込むという文化は浅く、江戸時代末期以降から湯の中でダシと味噌を一緒に煮込むようになり、さらにしょう油や辛子などの調味料が使用されるようになり、現在の「おでん」が生まれたのです。徐々に具材のバリーエーションが増し、庶民の味として、屋台で振舞われるようになったのが、現在は家庭の味として営まれているのです。


栄養の王様

おでんは栄養の王様!
おでんの具材には、魚のすり身から作られた練り製品、大豆加工品としてがんもどきや厚揚げ、卵、こんにゃく、大根、じゃがいも、昆布など様々な食材が使用されますが、おでん種の栄養をしっかりと知った上で上手に食べることがより良いバランスのとれた食事へと繋がります。

おでん種の中でも、魚のすり身を使った練り製品はEPAやDHAが豊富。特に青魚(鰯など)が使われているものは、カルシウム源だけでなく、ビタミンDと言われる骨の形成に欠かせない栄養素も含まれているため、育ち盛りのお子様や骨粗しょう症の気になる方にはお勧めの1品。またさつま揚げやちくわ、はんぺんなど消化がよく柔らかいので小さなお子様からお年寄りまで幅広く召し上がれるという利点があります。
 練り製品だけでは、不足してしまう栄養素が沢山あります。それを補ってくれるのが大根や昆布、こんにゃくなどです。これらには食物繊維が豊富。日本人は食物繊維が不足しているといわれています。積極的に摂らなければいけない栄養素です。おでんに限らず意識して普段から取り入れることが大切です。
それでも不足してしまうのが炭水化物。ご飯や麺類、あるいはじゃが芋などのイモ類をしっかりと組み合わせることがバランスよい「おでん」への一歩です。

また他の鍋料理に比べ、おでんは野菜が少ないのが特徴。酢の物や和え物など小鉢で野菜を加えるとさらにいいですね。

しかし、練り製品、加工品の食べすぎにはご用心。
塩分の過剰摂取につながりますので、気をつけるようにしましょう。


おいしいおでんのコツ

おでんは旨味の宝庫。美味しく作るコツは旨味をどうやって引き立たせるかということです。ダシを使って味付けをしますが、濃いダシを使ってしまうと、練り製品や昆布の旨味を消してしまう恐れがあります。ですから、薄味がポイント!
また、じゃが芋や大根などの味を染みこませたい食品においては練り製品を加えたあとに入れると良いです。さらに、火をとめ冷めることで食材に味が染みこむので、少し寝かせてから食べると美味しさがアップします。