診療科

脳神経外科

診療科紹介

教育認定施設
教育認定施設 日本脳神経外科学会専門医認定訓練施設

診療方針

病院の理念に則り、『愛し愛される病院』を目標とし、見沼区を中心に脳神経系の急性期治療を行います。

診療内容と実績

 脳血管障害(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など)、脳腫瘍(良性、悪性)、そして頭部外傷を中心とした、脳神経外科疾患全般の診療を行っております。最近では高齢化社会において増加している正常圧水頭症の治療にも力を入れております。
 2020年4月から新たに脳血管内治療専門医2名が赴任し脳血管内治療センターが開設されました。現在、脳神経外科常勤医4名体制となり、全員が脳神経外科学会指導医であり、脳卒中専門医が4名(うち指導医3名、脳卒中の外科技術指導医1名)、神経内視鏡技術認定医1名という豊富な治療経験を持った医師が診療にあたっております。
 急性疾患に対しては365日24時間体制での専門医による対応が可能となり、特に急性期脳梗塞に対する血栓回収やt-PA静注療法、くも膜下出血に対する開頭クリッピング術やコイリング術、及び脳内出血や頭部外傷等による緊急開頭手術も積極的に実施しております。重症患者さんについては集中治療室(ICU8床)またはハイケアユニット(HCU)で管理しております。特にICUではICU専属医師による集中的専門的治療を実施しております。
 またPET CTや放射線治療が可能であり悪性脳腫瘍に対しても診断から手術、放射線治療、化学療法といった集学的治療を積極的に実施しております。外来診療については、紹介患者さんも積極的に受け入れております。
 2015年7月の旧病院から当院への新規移転以降、救急搬送件数の大幅な増加(年間6500件以上)に伴い、脳神経外科新規入院数も月平均で60名程度、手術件数も2016年度から年間200件を突破し、その後も200~250件(血管内治療含む)で推移しており、今後も更なる増加が見込まれます。また、脳梗塞診療についてはDPCデータから埼玉県内でも有数の実績を上げております。それに伴い、当科担当ベッド数も当初の15床から30床、そして現在は43床(うちHCU4床)と大幅に増加し、当院の主要診療科の1つとなっております。

■手術実績

2022年度 190件 (内血管内38件)
2021年度 205件 (内血管内56件)
2020年度 218件 (内血管内44件)
2019年度 210件 (内血管内37件)
2018年度 245件 (内血管内47件)
2017年度 201件 (内血管内5件)
2016年度 213件 (内血管内3件)
2015年度 145件

診療全般について

 MRI2台(1.5Tと3.0T),CT2台(64列と256列)、脳血管撮影等を用いた脳腫瘍、脳動脈瘤などの診断を実施しております。またperfusion MRI等による内頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント前後の血流評価、そして脳血管バイパス術も適応を厳密に判断して積極的に行っております。更に、定位脳手術装置を用いた脳内血種除去手術も実施しております。

脳血管障害

  • 未破裂脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術、血管内治療(コイリング術)
  • 破裂脳動脈瘤に対する開頭クリッピング術、血管内治療(コイリング術)
  • 頸部内頚動脈狭窄症に対する内頚動脈血栓内膜剥離術(CEA),ステント留置術(CAS)
  • 頭蓋内動脈狭窄症、閉塞症、脳動脈瘤等に対する血管吻合術(EC-ICバイパス手術)、
    経皮的血管形成術
  • 解離性動脈瘤における血管内治療または開頭手術と深部血管吻合術の併用
  • 脳動静脈奇形に対する血管内治療と摘出術の併用
  • もやもや病に対する直接的、間接的血行再建術
  • 脳内出血に対する緊急開頭血種除去術、定位的脳内血種吸引術

以上が当院で実施している治療法です。

治験実績

 豊富な脳血管障害の実績により臨床治験にも参加しております。
2016.12~2017.11 塞栓源不明の脳塞栓症
2019.12~2021.3 急性期脳梗塞 PhaseⅡ
2023.7~ 急性期脳梗塞治験 2本予定

未破裂脳動脈瘤や脳腫瘍などの定時手術において

 未破裂脳動脈瘤や脳腫瘍などの定時手術においては、無剃毛手術を原則としており良好な結果と非常に高い患者満足度を実現しております。

脳腫瘍に対して

 脳腫瘍に対しては、下垂体や髄膜腫、頭蓋底腫瘍等の良性腫瘍については頭蓋底手技を用いて安全に実施しております。下垂体腫瘍では内視鏡下経鼻手術も実績を積んでおります。良性腫瘍の代表である髄膜腫については、腫瘍摘出に先立って血管内手術により腫瘍栄養血管塞栓術を行っています。これにより、手術中の出血量が著明に減少することでより安全な手術を行うことが可能です。
 神経膠芽腫に代表される悪性腫瘍についても、術中蛍光色素(5-ALA)を併用した積極的な摘出術を実施しており、術後は放射線治療科と緊密に連携し早期の放射線治療(リニアック)及び化学療法を実施しております。また、転移性脳腫瘍については、PET-CTなどを用いた診断が可能であり、必要に応じて腫瘍内科に依頼して術後化学療法も実施しております。

対象疾患

  • 脳血管障害(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、内頚動脈狭窄症等)
  • 脳腫瘍(髄膜腫、下垂体腫瘍、グリオーマ、頭蓋底腫瘍等)
  • 頭部外傷(緊急開頭術、慢性硬膜下血腫等)
  • 水頭症(特発性正常圧水頭症)
  • 機能的疾患(顔面けいれん、三叉神経痛)
  • 慢性頭痛(片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛等)

以上、全ての脳神経外科領域の疾患を対象とします。
尚、小児疾患については外来での対応となります。入院加療が必要と判断された患者さんに対しては、診断した上で適切に大学病院などにご紹介致します。

■特発性正常圧水頭症 (iNPH)

 特発性正常圧水頭症は主に65歳以上の高齢者に特有の疾患で、進行性の歩行障害、認知機能低下、尿失禁などが3大症状とされております。有病率は0.2~3.7%、罹患率は年間およそ120/10万人と推定されます。(特発性正常圧水頭症ガイドライン第3版)または全認知症患者の3~5%程度を占めるとも報告されております。MRIやCTで脳室拡大などの特徴的な所見で診断されることが多い疾患です。
 さいたま市(人口約130万人)でも概算で約6500人程度の患者さんが存在し、かつ年間約1500人が罹患していると推定されますが、実際に診断され治療まで受けられる患者さんはまだまだ少ない現状です。
 当院では院内他科とも協力して患者さんの発見、診断に努めており、また紹介患者さんも増加しており、積極的に受け入れております。術前には画像検査の他に、高次機能検査、歩行状態の確認などを行い、治療は主に腰椎腹腔シャント術を行っています。全身麻酔ですが30分程度の所要時間で、手術翌日から1~2週間のリハビリを実施していただいております。退院後も12か月まで外来フォローさせて頂いており、非常に高い症状の改善を認めております。

特発性正常圧水頭症の治療実績

シャント術
特発性正常圧水頭症 (iNPH)
2022年度 37 32
2021年度 23 20
2020年度 33 25
2019年度 32 23

脳ドック

 当院では脳ドッグも積極的に実施しており、年々増加傾向にあります。その中で未破裂脳動脈瘤、無症候性内頚動脈高度狭窄症、脳腫瘍などが発見され当科にて治療しております

学会発表資料(ご興味のある方はどうぞ)

PDF:水頭症   PDF:くも膜下出血   PDF:内頚動脈狭窄

担当医

副院長 兼 臨床研修センター長 長田秀夫(おさだ ひでお)

副院長 兼 臨床研修センター長  長田秀夫(おさだ ひでお)

【プロフィール】

平成27年4月より赴任致しました。日常診療や救急医療の更なる充実を図りながら、地域の患者さんの医療を担う一員として貢献していく所存です。


職歴
海上自衛隊医官
順天堂大学医学部付属静岡病院脳神経外科准教授(ドクターヘリ兼任)
防衛医科大学校脳神経外科講師

■個人手術実績
・2004~2014年度(順天堂静岡&防衛医大) 総手術:985例
 脳動脈瘤 188例
 脳腫瘍 299例(開頭 182例、経鼻 117例)
 血行再建術 57例
 その他

・2015~2022年度(彩の国東大宮メディカルセンター) 総手術:935例
 脳動脈瘤(クリッピング)105例
 脳腫瘍 72例(うち下垂体 12例)
 血行再建術 101例
 脳動静脈奇形 6例
 その他
 


【資格】

医学博士
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医・指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中指導医
日本脳卒中の外科学会技術指導医
日本頭痛学会認定頭痛専門医
日本神経内視鏡学会技術認定医
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
臨床研修協議会 プログラム責任者養成講習会修了
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
厚生労働省 面接指導実施医師養成講習会修了
TNT(Total Nutrition Therapy)コース修了
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
日本医師会医療安全推進者養成講座修了
日本救急医学会 ICLS コース修了

【専門】

脳腫瘍、脳血管障害 他

 渡邉 定克(わたなべ さだよし)

渡邉 定克(わたなべ さだよし)

【資格】

医学博士
日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医・指導医
日本脳卒中の外科学会技術認定医
小児慢性特定疾病指定医
難病指定医

 久保 創(くぼ はじめ)

久保 創(くぼ はじめ)

【資格】

日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医師(肢体不自由)
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
日本救急医学会 ICLS コース修了

外来担当医

時間/曜日
午前受付
8:00 〜 12:30
(診察)9:00 ~
久保 創 
渡邉 定克 
長田秀夫 【予約制】(脳血管障害・脳腫瘍)
工藤 琢巳 
長田秀夫 【予約制】(脳血管障害・脳腫瘍)
久保 創 【予約制】
午後受付
12:35 〜 16:30
(診察)14:00 ~
渡邉 定克 
工藤 琢巳 

日本脳神経外科学会データベース研究事業への参加について

本院で脳神経外科治療を受けた患者さまへのお願い
 現在、当院では「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND)」に協力しています。2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者さまの臨床データを解析させていただき、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。

解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さまの個人のプライバシーは完全に保護されます。

本研究の解析に自分のデータを使用されることを拒否される方は、当院での当事業実施責任者の脳神経外科 副院長 長田秀夫 にその旨お申し出くださいますようお願いいたします。

資料の閲覧
詳しくはこちらからご確認ください
その他研究事業についての資料閲覧を希望される方は、研究班ホームページ
(http://jns.umin.ac.jp)をご参照ください。

お問合せ等の連絡先
日本脳神経外科データベース事業事務局
一般社団法人日本脳神経外科学会
〒113-0033
東京都文京区本郷5-26-16 石川ビル4階