栄養士便り

86 水分補給について





高齢者が節電を意識するあまり、暑さを我慢して冷房使用を控えてしまい熱中症にかかってしまったという報告が最近見受けられます。
今回のテーマは「水分補給について」です。
特に、高齢者における熱中症予防についてご紹介します。


熱中症にならないためには・・・こまめな水分管理が大切です。

人間が1日に必要とする水分は約2リットル。飲み物だけではなく、飲食物に含まれる水分も含めると1日あたり約2.5リットル摂取しています。
1日の水分損失量は水分摂取量に影響をうけますが、肺や皮膚から無意識的に蒸発される水分を考慮すると約2.5リットル。つまり、摂取量と損失量はほぼ同量であり、一定に保たれています。
高齢者は、加齢に伴い筋肉量の減少、骨塩量の減少、そしてほとんどの臓器重量が減少します。また、歯の欠損や味覚異常など栄養バランスの崩れを誘発する原因をかかえていることが少なくありません。
体に占める水分割合は、小児で約60~70%、成人で約60%、高齢者で約50%と加齢とともに減少していきます。かつ、高齢者では口渇感を感じにくくなり、体内水分量の低下とあわせ、少しの水分不足でも調整が上手くできず、脱水状態となってしまうことがあります。




脱水症の確認ポイント

舌や口の中が乾燥している
皮膚が乾燥している、ハリを失っている
爪を押した時、色が白からピンク色に戻るのに2秒以上かかる
手足が冷たい
体重が減っている
血圧が低い
脈が速い
体温が高い
以上の項目にあてはまる場合には注意が必要です。
脱水状態に陥ると、食欲中枢が鈍くなり、食欲が低下し、日常生活に支障をきたすおそれがあります。



自宅での水分管理

1. 水分摂取の時間

時間を決めて水分をこまめに摂ること。 起床時、朝食、10時、昼食、15時、夕食、20時の7回水分補給 1回200ml(コップ1杯)を目安に。



2. 温かい食べ物を摂る

夏は外気温の上昇に伴い、冷たいものを多く摂る傾向があります。しかし、冷たいものばかり食べていると、身体の中の体温が低くなり、血液の循環が滞ってしまいます。熱を放散できなくなり、食欲を低下させてしまう可能性があります。
ですから、お味噌汁やスープ類を夏の食事にも付けることは大切な意味を担っています。
※ 治療によっては塩分を制限する必要がありますので、この限りではありません。


3. 水分を多く含むおやつを摂る

お茶やお水からの水分補給が上手くできない、または不足している可能性がある場合には、ゼリーやヨーグルトなどをおやつに摂ると水分補給の補助的な役割として効果的です。


4. 必要に応じてイオン飲料(スポーツドリンク等)を摂る

高齢者は、持続的な脱水状態になってしまうと、水分の不足だけでなく、塩分を含むミネラル不足やビタミン不足になってしまいます。



* イオン飲料の作り方

水1リットルに塩3g、砂糖40gを溶かしよく混ぜる。レモンやグレープフルーツ等の果汁を少量加えることでより飲みやすくなります。


今年の夏は、電力使用を考えると、水分摂取をよりいっそう強化していく必要があります。定期的な水分摂取をすすめ、脱水症にならないようにしましょう。