栄養士便り

96 貧血





春が過ぎ、上着が必要ないほど暖かくなる日が多くなってきましたね。そんな季節には、夏に向けてダイエットを始めよう!なんて考えたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は過度なダイエットでも引き起こされてしまう『貧血』についてお話します。


貧血って何?
貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが不足している状態をいいます。
ヘモグロビンが不足することで酸素の運搬能力が低下し、体内の細胞が酸欠状態になります。そのため、疲れやすい・めまい・立ちくらみ・動悸・息切れ・顔面蒼白・集中力の低下などの症状が現れます。

原因は?
貧血には、原因によっていくつかの種類がありますが、大部分は「鉄欠乏性貧血」です。
鉄欠乏性貧血は女性に多く、偏った食生活や無理なダイエットなどで食事から摂取する鉄の摂取量が少なくなることや、月経による出血で鉄が排出されて足りなることが原因で起こることが多いです。
妊娠中・授乳中・成長期の子どもなども多くの鉄分が必要となるため、不足気味になります。

予防・改善方法
1. 鉄分が多く含まれる食品を食べよう 鉄には、動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収が2~10倍と良いため、動物性食品を多くとればよいと考えてしまいがちですが、偏りの原因になってしまいますので、食事のバランスを考えてどちらからも摂るようにしましょう。
☆鉄が豊富な食品☆
動物性:牛肉、レバー、イワシ、カツオ、アサリなど
植物性:小松菜、菜の花、大豆など



2. 鉄の吸収を高める成分・妨げる成分を知り、まく活用しましょう鉄は吸収されにくい栄養素ですが、たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収率を高めることが出来ます。そのため、たんぱく質やビタミンCを多く含有する野菜や果物を一緒に摂ることがおすすめです。
一方、コーヒーや緑茶などに含まれるタンニンには吸収を妨げる成分があるので、食事前後1時間はこれらの飲用は避けることが望ましいです。また、胃液の分泌が悪いと鉄の吸収は悪くなるので、胃液の分泌を促進させるためにもよく噛んで食べましょう。
☆鉄の吸収を高める成分☆
たんぱく質(肉、魚、卵など)
ビタミンC(キウイ、カリフラワー、小松菜など)
ビタミンB12(レバー、かれい、ハムなど)
葉酸(ほうれんそう、春菊、モロヘイヤなど)
銅(うなぎ、さんま、きな粉など)



☆鉄の吸収を妨げる成分☆
タンニン(コーヒー、緑茶など)
フィチン酸(玄米、豆腐、豆製品など)
食物繊維(ひじき、ごぼう、ブロッコリーなど)
貧血はよくある症状なので軽く見られがちですが、たかが貧血と考えず自分の貧血の原因をしっかりと理解し、予防・改善していきましょう。