栄養士便り

55 お雑煮





新年明けまして、おめでとうございます!
2009年がスタートしましたね。
お正月は存分に楽しめましたでしょうか?
お正月と言えばおせち料理、鏡餅など様々なことが連想されますが、今回はお正月にちなんで『お雑煮』について紹介します。


お雑煮とは?

お餅は、昔から日本人にとってお祝い事や特別な日に食べる「ハレ」の食べ物とされていました。
昔の人は新年を迎えるのに、お餅をつきその土地の物と共に年神様にお供えをしました。
旧年の収穫や息災に感謝し、新年の豊作、家内安全などを祈り、お供えをします。
そのお供え物のお下がりをいただき、お餅と共に煮てもいただくというのが、お雑煮の始まりです。


お餅の違いは?

関西地方では丸餅、寒冷地や東京周辺は角餅を使用している傾向があります。
関東では、江戸時代、江戸(現在の東京周辺)には人口が集中していました。そのため一つずつ手で丸める丸餅より、手早く数多く作ることができる角餅が使用されたと考えられています。
一方、関西では、昔から「円満」という意味で縁起物の丸餅が使用されていました。
また、北海道では、明治時代以降に移住した人々によって各地のお餅が持ち込まれたため丸餅と角餅が混在しています。


味付けの違いは?

関東のお雑煮は、すまし仕立てのものが主となっています。
関西風のお雑煮といえば白味噌仕立てを連想しますが、西日本でもしょうゆ味の方が比較的多くなっています。味噌味のお雑煮を好む関西でも、赤味噌派と白味噌派に分かれるが、白味噌派の地域でもお雑煮用の高価な西京味噌ではなく、ふつうのあわせ味噌を使う家庭も多くなっています。


各地の特徴について

・岩手:三陸沿岸の一部地域では美味しいものを「クルミ味」と表現する場合があります。その美味しいもののクルミを擦ったものに、砂糖やしょうゆで味を付けたタレをお椀に添え、しょうゆ味の汁に焼いた角餅を入れたお雑煮の餅に付けて食べられています。
・新潟:鮭の産地であるため、お雑煮の具に鮭とイクラを使い、豪華な親子雑煮が楽しまれています。
・長野:鰤街道沿いの土地では、雑煮の具材に塩ブリを用いることが主流となっています。
・東京:かつお節や昆布などでだしをとり、しょうゆで味付がされています。大根や人参、小松菜、鶏肉などが具材の定番となっています。
・京都:丸餅や里芋、大根などの入った西京味噌の汁に、ふんわり花カツオをのせるのが定番です。餅と甘くコクのある汁がよく絡みあいます。「争い事がなく物事が丸く収まるように」という意味を込めて、具材は丸く切っています。
・広島:牡蠣の産地であるため、お雑煮に牡蠣を入れる家庭も多くなっています。牡蠣は「福をかき寄せる」縁起のよい食べ物とされています。
・岡山:3が日で小豆汁、味噌仕立て、しょうゆ仕立ての3種類の味を食べる家庭も多いようです。
・香川:味噌仕立ての雑煮にあんこ餅を入れて食べられています。砂糖が貴重だった時代、せめて正月のお雑煮は贅沢に食べたいと祝った先人たちの思いが込められているのです。

日本の東西によって、食習慣に変化が見られるのは、これらは各地域の特性や元来から伝統などの違いによるものではないでしょうか。

お餅は喉に詰まりやすいので、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。